
ガス化溶融施設
ガス化溶融施設
施設概要
ごみ処理は「燃やす」から「溶かす」へ
この施設は、平成15年3月に完成した安全で公害の出ない環境にすぐれた最新鋭の処理施設です。ごみを1,300℃以上の高温で、マグマのように溶かしてしまいます。そのため、ごみを「燃やす」のではなく、「溶融する」といいます。高温で溶かすので、ダイオキシンなどの有害なガスはほぼ完全に分解されます。
このように溶融することにより、焼却灰はマグマのように溶けて「スラグ」といわれるガラス質の砂が出てきます。このスラグは砂と同じように道路の舗装やコンクリートに混ぜ土木資材として利用することができます。
さらに、高温で溶かすため、その熱を利用して、ボイラで蒸気を作って、蒸気タービン発電を行っています。発電量は3炉運転時で最大2,350kwですが、通常は2炉運転ですので、1,600~1,700kwの発電をして、場内の各施設に利用しています。この発電量は、一般家庭約3000戸の使用する電力量です。そのほかにも、お湯を作って場内で利用しています。
また、この溶融施設では、埋立て処分場の焼却灰を掘り起こして、もう一度溶融してスラグにしています。ごみピットから出る汚水についても、この施設で循環させて再利用させるなど、いろいろな工夫がされています。

流動床式ガス化溶融炉とは
円柱状または四角形の縦長の炉の中に、直径約1mmの砂を入れ、厚さ1.3mの砂の層をつくり下から空気を入れて砂を浮かせます。これが流動床の状態です。
流動床の状態の砂を500~600℃に熱し、その中にごみを入れ乾燥・ガス化(炭化)させるのが流動床式ガス化炉です。このガス化炉で発生したガスを旋回式溶融炉に送り、燃焼空気とともに旋回しながら1,300~1,400℃の高温で溶かし、灰分をスラグ(ガラス粒状)化すると同時に、ダイオキシン類を分解します。
以上の流動床式ガス化炉と旋回式溶融炉とを組み合わせたシステムが流動床式ガス化溶融炉です。
ガス化溶融炉の設備
流動床式ガス化炉と旋回式溶融炉を組み合わせた「流動床式ガス化溶融炉」を採用した、優れた焼却・処理能力を持つ最新施設です。安全性と環境にも万全の配慮がされています。
流動床式ガス化炉の特長
・高い炉床負荷のため、従来の焼却炉に比べて倍以上のごみを投入することができます。
・流動層温度を500~600℃にしてガス化反応を緩慢にすることで、ごみの質や量の変動に対しても平均して熱分解ガスが発生し、安定した運転が確保されます。
・砂の旋回流動により、大きなサイズの不燃物も容易に排出できます。
・流動層温度が低く、しかも還元雰囲気であるため、鉄、銅、アルミなど有用な金属をリサイクル可能な(未酸化)状態で回収できます。
旋回式溶融炉の特長
・ガス化炉で生成した熱分解ガスが1,300℃以上の高温熱焼を実現。
・1,300℃の高温域を通過するため、ダイオキシンはほぼ完全に分解されます。
・旋回流の遠心力効果により、ほぼ全量をスラグ化できます。
1.受入供給設備

プラットホーム
計量されたごみはプラットホームからごみピットへ投入されます。

ごみピット・ごみクレーン
ピットには7日分のごみを貯留できます。ごみはごみクレーンによりホッパへ投入されます。

ごみ破砕機
色々な大きさのごみを均一な大きさに砕きます。

破砕ごみピット
ごみ破砕機で砕いたごみを一時貯留し、ガス化炉へ投入します。
2.ガス化溶融設備

ガス化炉
ガス化炉に定量供給されたごみは500~600℃でガス化され溶融炉へ送られます。不燃物や金属類はガス化炉下部より排出されます。

溶融炉
排ガスは燃焼空気により旋回しながら1,300~1,400℃で燃焼し、灰分はスラグとして回収します。

酸素発生装置
空気を原料として酸素を製造し、燃焼用空気の一部として使用する装置です。これにより助燃料を極力減らすことができます。
3.燃焼ガス冷却設備

廃熱ボイラ
燃焼によって発生した排ガスの温度を下げるとともに熱回収によって蒸気を発生させます。

高圧・低圧蒸気復水器
ボイラ・蒸気タービンから出た蒸気を水に戻し循環利用します。
4.排ガス処理設備

集じん機(バグフィルタ)
排ガスの中の塩化水素、硫黄酸化物、飛灰などを除去します。

減温塔
空気予熱器を出た排ガスは水を噴霧することにより185℃まで冷却されます。

触媒反応塔
排ガス中に含まれるダイオキシン類や窒素酸化物を触媒の働きで分解します。
5.予熱利用設備

蒸気タービン&発電機
廃熱ボイラで発生した蒸気を利用してタービンを回し、発電機により最大2,350kwの電力を発生させて施設内の電力に使用します。
6.通風設備

誘引通風機
きれいになった排ガスを煙突へと導く設備です。

空気予熱器
燃焼用の空気を、排ガスの熱を利用して予熱する装置です。
7.溶融固化物及び灰処理設備

積出室
スラグ、飛灰を搬出するために専用の部屋を設けています。

スラグバンカ
溶融炉から出たスラグを貯め、搬出します。
8.給排水設備

雨水ポンプ・雨水貯槽
雨水を貯槽に貯め雨水ポンプで汲み上げ、施設内のトイレ排水などに利用します。

給湯用熱交換器
ボイラから出た蒸気を場内給湯用で使用するためのお湯にします。

排水設備
施設全体から出てくる排水を処理し、再利用水として施設内で全て再利用するクローズドシステムです。
ガス化溶融炉

処理フロー

施設情報
建築面積 | 5,030m2 |
延床面積 | 13,158m2 |
構造 | 鉄骨造一部鉄筋コンクリート造6階建地下2階構造 |
処理能力 | 168トン/24時間(56トン/24時間×3炉) |
処理方式 | 流動床式ガス化溶融炉 |
余熱利用 | 蒸気タービン発電 最大2,350kw 場内給湯 |
工期 | 平成12年8月~平成15年3月(本稼動は平成14年12月) |
総事業費 | 約73億円 |
公害防止基準(排ガス)
区分 | 自主基準値 | 法定基準値 |
---|---|---|
ばいじん量 | 0.01g/Nm3以下 (乾きガス、酸素濃度12%換算) | 0.08g/Nm3以下 |
硫黄酸化物 | 20ppm以下 (乾きガス、酸素濃度12%換算) | 約5,300ppm以下(K値17.5) (基準ごみ質時参考値) |
窒素酸化物 | 50ppm以下 (乾きガス、酸素濃度12%換算) | 250ppm以下 |
塩化水素 | 50ppm以下 (乾きガス、酸素濃度12%換算) | 250ppm以下 |
一酸化炭素 | 30ppm以下 (乾きガス、酸素濃度12%換算、4時間平均値) | 100ppm以下 |
ダイオキシン類 | 0.05ng-TEQ/Nm3以下 (乾きガス、酸素濃度12%換算) | 1ng-TEQ/Nm3以下 |